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オリンピックの開会式について、元国体優勝ダンサーが思うこと。アートのセンスがその民族の未来を決める

投稿日:2021-07-26 更新日:

一応学生時代にやっていたモダンダンス、コンテンポラリーダンスの部活所属時に全国大会優勝しているので、この話題にも触れておかないとなと思いました。思えばリオの閉会式の時の最後に流れた、次期東京オリンピックの紹介コーナーは大変素晴らしく、一体どんなオリンピックになるんだろうと当時YouTubeに上がっていた映像を何回も見た覚えがあります。特に、AR(拡張現実)を使った演出がすごかった。

あれから7年プラス1年。コロナの影響とかがあるにせよ、これだけの長い準備期間と技術の進歩があるんだから、きっといいものが出来るに違いない。いや、でもそうでもないのか?とどっちつかずの心持ちでそこそこワクワクしながら開会当日を迎えました。

開会式が始まってものの数秒で「あっ、これはヤバいやつだ」と感じました。本来こういったものは、開始後すぐに観客の心を掴むためにインパクトのある内容を見せないとならないんですが、やっていたことと言えばルームランナーでのんべんだらりとランニング。すったもんだの世紀末。

正直に言うと、モダンダンスの大会の高校生の部を見ている時の感覚と同じでした。ビートたけしが「恥ずかしくて外国に行けない」と言ったことがニュースになってましたが、本当にその通りだと思います。夕飯を食べながら見ていましたが、ガチで吐きそうになってしまいました。

特に、タップダンス&アクロバット、なだぎ武のくだり、ONの登場など、これが世界に向けて発信されるのかと思うと顔から火が出る思いのするシーンが多くあり、いかに日本という国が老人中心で回っているかを突きつけられた感じでした。FF15をやっているときも思いましたが、タップダンスなどをこれ見よがしに持ってくる辺り、未だに昭和的なかっこよさが世の中を跋扈しています。

とにかく構成がちぐはぐで、内部で大きく分断してるんだろうなあという印象を受けました。今回、小山田圭吾というかたや小林賢太郎という人、のぶみという人が直前になっての辞任劇で次々と辞退しましたが、その背景に防衛副大臣が絡んでいたのは、久々にほんとに引いてしまいました。

中山防衛副大臣は人権団体への通報をSNSで報告

組織委の判断に影響を与えた人権団体の抗議声明を“引き出した”のが、自民党衆院議員の中山泰秀防衛副大臣だったとみられている。

「中山氏は、ツイッターの一般ユーザーから小林氏の過去のコントに問題があると相談を受け、その内容をサイモン・ウィーゼンタール・センターに“通報”したようです」(官邸事情通)

確かに、中山氏は日本時間22日午前2時すぎにツイッターで、〈サイモンウィーゼンタールセンターと連絡を取り合い、お話をしました。センターを代表されるクーパー師から、以下のコメントがありましたので、ご報告します〉と投稿している。

二十代の頃に働いていた会社で、こういったことが頻繁に行われていました。鍵を置く位置が5cmずれていた、他社宛のメールの改行の位置がおかしいなどなど、とにかくありとあらゆる仕事とは関係の無いアラを探しては、あえて怒りを振りかざす上司にそのことを報告するといった風土のある部署で働いていました。自分だけ褒められたい褒められたい、誰かが転落して欲しい。そういった、少しでも隙があれば鬼の首取ったろうという空気が常に蔓延していました。

今回の防衛副大臣の件は、未だにそういったことが日本の各所で日々行われているんだろうなあということを改めて思い出させました。なぜこんなにも後ろ向きの精神性になってしまったのだろうか。その部署で働いていたのは十年くらい前なので、おそらくこの先も確実に「資源が無いことへの漠然とした焦り」めいた社会は長く続くのでしょう。今回の件はその気づきというか、確信に気付かされました。人々の頭の片隅にある、日本脱出の概念を膨らませるようなオリンピックになったと思います。

元々のMIKIKO案廃止という判断は、日本はアートにお金をかけない国である事の明確な証拠になったと思います。つまりこの先もハードに重点を置いてやっていくという先進国にあるまじき頑固な判断。これがどういった未来を引き寄せるのかは想像に難くない。

色々と制約があったから仕方がないという意見もあるが、制約という縛りを設けたのは人間側なのでコロナは単にその隠れ蓑になっているだけ。さらに悪いことに、国民はこのアートのダサさに気付いている人が少ないという印象。日本語はシステムやUIを作ることに長けていない言語である事を昔から主張していたが、今回正にそれが露呈してしまった形となった。しかしこういったアートのセンスは言語内にとどまってしまうものなので、まあなかなかにどうしようもなく、危機的な状況ではある。

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